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厚生労働省は、子どもが2歳に達するまで育児休業を延長可能にする方向で育児・介護休業法の改正を審議しているそうです。背景に待機児童問題があるとか。

子育てを経験した女性の立場から言わせてもらうと、この手の話が飛び出すたびに、いったい誰が言い出したことだろう?と疑問に思います。

育休が2歳児まで延長されれば、女性は「はい、そうですか。ではそれまで育児に専念します」って言うと思います? あり得ないでしょう。ただでさえ1年休んだだけでも復帰に苦労しているのに、そんなに仕事休んだら化石みたいになってしまいます。

それよりも、全ての希望するお母さんが1年間しっかり育児休暇を取れるようにして欲しいです。今回はそれを実現させるための提案です。

そもそも1年間の育休を取れる人は少ない

例えば、12月に出産すれば、翌年の11月まで1年間は育休が取れるはずですが、ほとんどのお母さんは4月から子どもを保育園に入れて働き始めます。この場合、育休は1月から3月までの3か月間しか取れないことになります。保育園は4月が入園の時期になりますので、11月から子どもを預けたくても既に定員は一杯になっているからです。

では年度の途中でも、希望する時に子どもを預けられるようにするにはどうしたらよいでしょうか。

育休を1年間取れば、子どもは1歳になっているので、1歳児クラスに編入することになります。でも1歳児クラスは0歳児クラスに入れるよりはるかに難関です。なぜなら、0歳児クラスの子どもたちは1歳になれば1歳児クラスに持ち上がりますので、誰かがやめない限り、1歳児クラスに空きができないからです。

育休を1年間取れるようにするにはどうしたらよいか

育休を1年間取れるようにするにはどうしたらよいでしょうか? 非常に暴論に聞こえるかもしれませんが、公費による0歳児保育をやめるしかない、というのが私の提案です。

そもそも「保育園落ちた日本死ね」ブログが注目を集めたように、0歳児から保育園に入れる人と入れない人が存在することが不公平感を高めています。では全員が希望どおり保育園に入れるように整備することができるのか? 不可能です。保育士は急に増やせないし、都市部の狭い土地に新たな保育園を立てるのは難しく、予算不足の問題もあります。それなら全員受け入れなければ、公平なのではないでしょうか?

もちろん0歳児から預けたいというニーズはあると思いますので、その場合は、民間のベビーシッターなり私立の保育園にお任せすれば良いでしょう。費用負担は、個人の事情であれば全額個人負担、企業の事情であれば企業が負担すれば良い。

公的な保育園で0歳児クラスをやめてしまえば、0歳児クラスの定員分を1歳児以上クラスの定員に回せるので、待機児童を減らせる効果もあります。

子どもが1歳になるまで保育園に入れないとなると、4月入園が現状のままなら、育休は1年を超えることになりますが、そのぐらいは延長しても良いのではないかと思います。そして育休の間はスキルを磨けるように支援するとか、日ごろ同僚や上司とコミュニケーションを取れるようにしておくなど、スムーズに復帰できる仕組みづくりは必要になるのは言うまでもありません。

0歳児保育をやめることは根本解決にはならない

今回は「育休を延長することを考える前にやることがあるでしょ」という話でしたが、0歳児保育をやめても1歳児での保活が大変になるだけで、待機児童の抜本的対策にはなりません。待機児童問題と少子化を解決する一番の方法は、都市部の一極集中の解消にあると思っていますが、その話はまた別の機会に。

※写真は 写真ACさん内のacworksさん のものを使わせていただきました。いつも素敵な写真をありがとうございます。