EC-CUBE が大好きで、このブログでも何度か取り上げてきましたが、ついに EC-CUBE とはお別れする時がやってきました。

これから EC-CUBE の導入を検討している方に向けて、なぜ EC-CUBE をやめることにしたのか、その理由を説明します。

きっかけは PHP のバージョンアップ

EC-CUBE から離れなくてはならない最大の理由は、PHP のバージョンアップです。

PHP は Webアプリケーションに広く普及しているプログラミング言語で、EC-CUBE は PHP で作られています。

この PHP の仕様が変更になり、バージョン7に引上げられました。

私が愛用しているエックスサーバーも、サーバーパネルから変更できます。エックスサーバーPHP切り替えエックスサーバーでは現在、PHP 7.2.x が推奨になっています。PHP5 から PHP6 ではなく、いきなり PHP7 へのバージョンアップなので、かなり変更になったことがうかがえますね。

PHP 自体のバージョンアップは、サーバーの管理画面上で切り替えるだけなので簡単ですが、EC-CUBE の本体が PHP7 に対応していないとエラーが起こって動かなくなってしまいますので、PHP を切り替える前に、EC-CUBE のバージョンを上げなければなりません。

EC-CUBE を PHP7 で運用するには?

私が一押しの EC-CUBE 2系は、現在 2.13 が最新で、2.17 から PHP7 に対応するそうですが、残ながら、EC-CUBE 2.17 は、まだ正式版はリリースされていないようです。

開発者向けバージョンは以下からダウンロードできますが、試してみたところエラーが頻出し、とても動かせませんでした。(T_T)
https://www.ec-cube.net/news/detail.php?news_id=290

EC-CUBE 3系、4系は、現在の最新版をダウンロードすれば PHP7 に対応していますが、すでに稼働中の EC-CUBE 2系、3系 を PHP7 にバージョンアップさせるのは簡単ではありません。

利用しているプラグインや、テンプレートによっては、EC-CUBE 4系をインストールして作り直した方が早いかもしれません。

WordPress もPHP7 にバージョンアップが必要

昔から、EC-CUBE 単体では集客が弱いということが言われてきました。そこで今までは、WordPress でブログを書いて集客し、EC-CUBE で販売するというスタイルをお勧めしてきました。

この記事は内容がだいぶ古くなっています。今は、WordPress と EC-CUBE の組み合わせはお勧めしていません。詳しくはこちらのエントリーをご参照ください。(2019.9.13 追記)WordPress と EC-CUBE を同じドメインにインストールするのは、わりと簡単にできます。ブログやコンテンツは WordPress を使い、ショッピングカートは EC-CUBE を使えば、月額無料で集客力のあるネットショップを運営できるので、是非挑戦してみてください。(レンタルサーバー代や決済基本料は別途必要になります)EC-CUBE+WordPressがなぜスゴイのか?ネッ...

WordPress も PHP7 にバージョンアップさせる必要があります。WordPress は 自動更新機能がありますが、最新版は PHP7 でないと動かせないため、サーバーがまだ PHP5 になっていると、WordPress のダッシュボードに警告が表示されているはずです。

EC-CUBE は日本製のソフトウェアですが、WordPress は海外で広く使われていますので、それだけ狙われる可能性が高いです。

つまり、同じドメインで WordPress と EC-CUBE の両方を古い PHP で運用していると、お客様だけでなく、侵入者も広く呼び寄せてしまう可能性があり、非常に危険な状態になってしまいます。

EC-CUBE タダより高いものはない

「EC-CUBE は無料だから」導入したいと考える方は多いようです。私自身、農家さんのように繁閑のある業態は月々のレンタルカート代を支払うのは苦しいので、EC-CUBE をお勧めしてきました。

でも、EC-CUBE には、WordPress のように自動更新機能がありませんから、その分、人の手でメンテナンスし続けなければいけません。ネットショップであるからには、安全に利用できることを一番に考えなければいけないはずで、今回のように、システムに大幅な変更があった場合は、いちから作り直すという非常に大変な作業も覚悟しなければなりません。

メンテナンスに自信があれば別ですが、それほど知識がないということであれば、有料カートをレンタルする方が、よほど安いですし、安心してネットショップを運営できます。

独自ドメイン対ショッピングモール

ところで、話は変わりますが、ネットショップを運営するにあたって良く比較されるものに「ショッピングモール」への出店があります。

ショッピングモールと言えば、Amazon、楽天、Yahoo!ショッピングが3強ですね。

ショッピングモールに出店すると、店舗のURL が「https://item.rakuten.co.jp/xxxxxx」や「https://www.amazon.co.jp/xxxxxx」になるため、EC-CUBE を運用して自分のドメインで運用する店を「ドクドメ」と呼んで区別したりします。

私は、ネットショップを運営するのなら「ドクドメ」が有利だと長い間考えてきましたが、最近になって、ショッピングモールも悪くないと思い始めています。

月額基本料を取られる楽天市場や Amazon は論外ですが、Yahoo!ショッピングは月額基本料は無料で、売上の4%ぐらいが手数料で、売れなければ手数料はかかりません。

また、楽天市場と比べて、顧客のメールアドレスも取得できるので、ドクドメに近い形で運用できそうです。

一昔前は、Yahoo!ショッピングなんて売れないと評判でしたが、最近では、PayPay、Tポイント、ワイモバイルなどのグループ企業の資源をフル活用したり、ゾゾタウンを買収したり、勢いを感じます。お客様にお勧めしても、昔ほど Yahoo!ショッピングに抵抗感がなくなってきているようです。

そこで、WordPress でブログを運用しつつ、ショッピング部分に Yahoo!ショッピングを取り入れるという作戦を考えています。ただし、今秋には新しく PayPayモールが立ち上がり、このモールは Yahoo!ショッピングの上位モールの位置づけにあるとのことで、その結果 Yahoo!ショッピングは今後どうなるのか、まだまだ手探り状態が続きそうです。

ドクドメ店舗をやめるもう一つの理由

ドクドメ店舗は不利かもしれないと考えた理由がもう一つあります。巧妙なニセサイトが増えているためです。

例えば、詐欺サイトで検索してみたところ、詐欺サイトを集めた情報サイトがたくさん見つかりました。以下のサイトは、実際に騙された方が体験を書かれています。

通販詐欺サイトに騙されてしまったその後のエピソードです。ネット通販詐欺サイトの特徴と、皆様から頂いた詐欺サイトの情報も大公開します。このページで自己防衛を!

警察に通報しても全く動じず、サイトを閉じずに普通に運営している詐欺サイトが今もたくさんあるなんて恐ろしいですね。

でも、もしかしたら、一般の人にとっては、詐欺サイトもそうでないサイトも違いがよく分からないということは言えるかもしれません。だから、買う側の立場に立つと、ショッピングモールの方が安心感があるのではないでしょうか?(もちろん、楽天や Amazon のコピーサイトもたくさんあるので注意は必要ですが)

つまり新規のお客様を集めるのなら、ショッピングモールの方が有利かもしれない、ということです。

終わりに

以上の理由から、EC-CUBE から離れて、Yahoo!ショッピングに引っ越すことにしました。

今後このブログでは、Yahoo!ショッピングの話が増えるかもしれません。あるいは、EC-CUBE に戻る日が来るのか、ネットショップシステムの模索はまだまだ続きそうです。