時々「個人情報漏えいが心配なので Facebook は使わないようにしている」という社長さんに会います。気持ちは分からないでもないですが、それは大きな間違いです。今回は、新しくネットショップを立ち上げる方からいただく質問への回答集です。

ネットショップ運営と SNS の危険性

女子高生と商店の立場の違い

SNS 絡みの事件はテレビや新聞などで日々報道されており、スマホを手放せない高校生や、アルバイトの不用意な投稿による炎上などに眉をしかめる経営者の方も多いのではないでしょうか?

暇さえあれば写真を撮って、Facebook や Instagram に投稿し、「いいね」を集める人たちを見て、時間の無駄って思う気持ちも良くわかります。

そんなに自分の情報をさらけ出して良いのか?と疑問に思う方も多いでしょう。

ただ、ここではビジネスでの利用という観点と、個人的な趣味での利用という観点が混じってしまっています。

女子高生が自分の名前と住所を晒し、位置情報のついた自分の部屋の写真をインスタにアップすれば、それは犯罪者を招いていると言わざるを得ません。

では商店が「個人情報に関わるので住所は公開しないようにしています」というのはどうでしょう? それではお客様が来てくれないですよね?

つまりSNSは道具であり、SNS が危険なのではなく、SNS の使い方により危険な場合があり得るということを理解しておけば、やみくもに怖がる必要はないということです。

SNS への投稿は営業時間と考える

では、「投稿は時間の無駄」という気持ちについてはどうでしょう?

SNS を使ったことのない大人は、子どもたちが LINE で1日中「テレビで○〇を見てるよー」とか「さっき××に会った!」などと投稿しているのを見かけたり、「既読スルーしたらいじめに合った」などというニュースを見たりすると、「そんなものとても使う気になれない」と言うのですが、大人の世界では、さすがにそういうことはありません。(たまに暇なお母さんたちの間では、そういう話も聞かなくはないですが)

一方で、飲食店を経営していて、毎日ランチメニューを公開して、そのメニューの説明をしているのであれば、広告宣伝という営業の仕事をしていることになります。つまり、ここでも、ビジネスなのか趣味なのか分けて考えれば良いわけです。

SNS がなかった時代には、チラシを印刷して配ったり、新聞や雑誌に広告を掲載してもらったりしていたのですから、その手間を考えれば 、SNS で宣伝することほど手軽な広告手段はありません。SNS の活用を増やし、チラシや広告費を減らしていけば、経費削減効果につながります。

ビジネスでは Facebook が圧倒的に強い

SNS の定義とツールの種類

ここであらためて SNS の定義ですが、SNS は ソーシャル・ネット・ワーキングサービス(Social Networking Service)の略で、不特定多数の人々との交流を目的としたツールを指します。

有名なところでは、Facebook、LINE、Twitter、Instagram、Google+、Mastodon、Slack などがありますが、一人ですべてを運用するのは無理がありますので、どのツールを選ぶのか、単独で行くのか、複数組み合わせるのかについても経営戦略になります。

どれを選ぶのか見当もつかないという方は、まず Facebook から始めるのがお勧めです。

Facebook を始めるのは今さら?

Facebook は最近、広告運営上の情報漏えいが問題になったり、世論の不正操作疑惑が起こったりして、米国・ヨーロッパを中心にユーザー離れを招いています。なので、今さら始めるのは遅いような感じがするかもしれません。

確かに、Facebook に限らず、SNS 全般において利用上のリスクは当然あります。ほとんどのツールはユーザーに無償で提供されており、ユーザーはタダで使うかわりに個人情報を差し出すという仕組みが成り立っているからです。

そんなリスクを背負うのはゴメンだと感じるのであれば、利用するべきではないでしょう。ただ、私個人としては、Facebook のお陰で、実際に収入を得ていますので、使わない手はないと実感しています。

また、始める時期についても遅すぎるということはありません。ビジネスを始めるのと同時に Facebook アカウントを取る人や、就活で使う人など、新しく始める人は今でもたくさんいます。

Facebook はなぜビジネスに向くのか?

Facebook は大学の合コン用に、メンバーのプロフィール紹介用に作られたというだけあって、履歴書の延長のような役目を果たします。

初対面で名刺交換し、ちょっと話をしただけではその人のことを知るのは難しいです。Facebook で友達になると、Facebook に その人の日常が表示されます。登山が趣味だったり、楽器を演奏するのが得意だったり、名刺交換だけでは知ることのできない意外な一面が見られるのです。あるいは、その人の人間関係が分かるので、案外身近な人の知り合いだったりします。

不思議なもので、1度会ったっきり何年も会わなくても、Facebook で顔写真付きのその人の日常を見ていると、なぜか一緒に過ごしているような感じがしてきます。そしてたった2度目の再会でも旧知の間柄のように親しく過ごすことができます。Facebook のこのような機能は、他の SNS には見られない大きな特徴となっています。

初対面の人と Facebook でつながっていれば、その人は何が得意なのかが分かるため、必要になったとき、いつでも仕事を頼むことができます。

Facebook で何を投稿すれば良いか?

Facebook は「近況報告ツール」と言われています。なので近況を書けば良いのですが、ビジネスとして活用するのであれば、毎日飲み会ばかりではそういう人なんだと思われてしまいます。実際、私もそういう投稿が多くなってしまうので反省しているところです。

自分の仕事をさりげなくアピールしつつ、趣味などの話もバランスよく織り交ぜるのが良いでしょう。商品を売ることに一生懸命になると引かれますので気をつけましょう。

逆に、世の中の批判とか文句とか、マイナスの投稿は、つい書きたくなってしまいますが、好まれないのでやめておいた方が良いです。

SNS と ホームページ(自社Webサイト)の連携

SNS と 自社サイトのどちらがメインなのか?

たまに「Facebook を始めたので、ホームページにバナーをつけて Facebook に集客できるようにして欲しい」という依頼があります。そんな時は全力で「逆です」と説明します。

もちろん、最近は Facebook、Instagram、LINE などにカート機能をつけられるようになったので、自社サイトから SNS の カートへ誘導したいということはあると思いますが、それは例外です。

多くの場合、SNS は集客ツールです。なぜなら、ツールの流行り廃りが激しいため、一つのツールに依存することはリスクだからです。

自社サイトを充実させて、そこに集客するために SNS を使う。SNS は、顧客層や流行りを見ながら変えていけるようにするのがベストなやり方です。

SNS と ブログの連携

SNS をやっているのに、ブログまで書くのは大変!という方も多いと思います。時間も人も限りがありますので有効に使いたいですよね。

よくあるのは、ブログを書いて、その内容をメルマガにも利用し、ブログの一部を紹介する形で SNS に流し、自社サイトへの集客を図るというやり方です。一つの記事を複数に分けて活用すれば、短時間で効率よく様々なツールを活用することができます。

まとめ

たまにいただく「えっ?」と思う質問についてまとめてみました。

ネットショップにお客様を集客する方法は、実際の店舗を構えるときとは違い、SNS やブログが効力を発揮します。ネットショップを運営する以上、効率よくお客様を誘導する活動に終わりはありませんから、継続できる方法を考えるのが大切です。