WordPress の技術的な情報はネット上に溢れていますので今さら感がありますが、そもそも WordPress とは何ぞや?という、基礎的なお話。

なぜ今さら WordPress を取り上げるのか

先日、短大の2年生でWeb製作を学んでいるという女子と話をしました。
今どきはWeb製作を学べる短大があるんですね。でも、学校でWordPressは取り上げられなかったそうです。

先月、「ホームページ作成講座」が商工会議所で開かれたと新聞で報じられていました。
内容が「ホームページビルダーを使ってHTMLを学ぼう」となっていました。

今どきのWebサイトは、ほとんどが WordPress で作られています。私自身、WordPress の仕事が圧倒的に多いです。
「WordPress」はインストールからテーマから全て構築することもありますし、現在運用中のもののカスタマイズの場合もあります。

ネットショップで、EC-CUBE や FutureShop を扱う時は WordPress と連携させることが前提となりますし、WordPress の入ったサーバーの引っ越しとか、アメブロなどのブログサービスからWordPress への引っ越しなど、ほとんどの仕事に WordPress が絡んできています。

WordPress って難しそう。プロが使うもので、素人はやっぱりホームページビルダーでしょ?って思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、WordPress なら、初心者でも簡単にプロ並みの Webサイトが作れちゃうんです。

というわけで、今や WordPress は社会常識と言っても良いぐらい普及しているので、分かりやすく解説してみようと思いました。

で、WordPress とは何なんでしょう?

WordPress という言葉自体は知っていても、WordPress が何かを具体的に説明するのは、Web製作事業者じゃない方にとっては難しいかもしれません。

では、WordPress を一言で言うと何か? よくあるのが「CMS の一つです」という回答。CMSは「Contents Management System」の頭文字を取ったもので、訳すと「コンテンツを管理する仕組み」ということになるでしょうか。これでも、よく分からないですね。

用途で考えてみると

用途で考えてみます。「WordPress ってブログを作るやつでしょう? アメブロとか、はてなブログ、みたいな」そう。そのとおりです。プログ(コンテンツ)を管理する仕組み、ということになります。でも今は、ブログだけではなくて、会社のWebサイトにも WordPress が採用されています。色々なコンテンツ(情報)を管理するシステムに成長しているんですね。

仕組みで考えるみると

WordPress は、PHP というプログラム言語で作られています。プログラムは全て公開されており、WordPress の公式サイトから無料でダウンロードできます。PHP言語が分かれば、自由に機能を追加したり変更したりすることができます。

WordPress を動かすには、PHPの入ったコンピュータとデータベース(標準的にはMySQL)が必要になります。PHPとMySQL自体も無料で配付されていますので、Windowsパソコンに導入することもできますが、色々面倒なので、普通はPHPとMySQLを使えるレンタルサーバーに導入します。ちょっと分かりにくいので、図にすると、こうなります。

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ここで重要なのが、データベースの役割です。ブログなどのコンテンツは全てデータベースに保管されます。写真はサーバー内に保管されますが、記事の中のどこに写真を配置するかという情報や、サーバー内のどこに写真が保管されているかなどの情報はデータベースに保管されます。

WordPress は「コンテンツの保管」と「コンテンツの取り出し」という役割を担っています。WordPress がCMS(Contents Management System「コンテンツを管理する仕組み」)であるという意味が、何となく理解できますよね。

CMSは他にもあって、MovableType や XOOPS などが有名ですが、仕組みは同じです。

データベースを覗いてみると

データベースにも種類がありますが、MySQLが一番普及しています。MySQLには phpMyAdmin というデータベースを管理するためのツールがあります。このツールを使うと、データベースを直接操作して、データを追加したり、修正したりできます。たいていのレンタルサーバーには、このツールがインストールされているのですが、稀に、自分でインストールしてください、と言われることがありますので気をつけましょう。

phpMyAdmin を使って、WordPress のデータを覗くとこんな感じ。

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ちょっと古めの phpMyAdmin ですが、こんな風に、分かりやすく表示してくれます。WordPress には12個のテーブルがあることが分かりますね(テーブルの数や中身はWordPress のバージョンによって微妙に違います)割とシンプルです。ここに投稿した記事が保存されていくというわけです。

ただ、WordPress が壊れた!とか、アカウントもパスワードも忘れちゃって管理画面に入れなくなった!とか、よほどのトラブルがない限り、データベースそのものを操作するということはありません。

なぜ WordPress がこれほど普及したのか

最近では、HTML でゴシゴシ Webサイトを作ることはなくなって、ブログじゃなくてもWordPress で Webサイトを作るのが主流です。その理由について考えてみました。

検索エンジンで上位表示されやすい

情報量(コンテンツの量)を増やす仕組みが整っていて、1記事書くと、カテゴリ別の記事、タグ別の記事、著者別の記事、というように、複数の記事が自動で作成されます。この仕組みは Google から見たらスパム扱いされるのではないか、と危惧している人もいるみたいですが、「WordPress で記事をたくさん作ると検索エンジンで上位表示されやすくなる」ということは誰もが実感していることで、これが WordPress 人気の一番の理由です。

導入が簡単

いくら検索エンジンに好かれるからといっても、導入が難しければ、ここまで普及しなかったでしょう。とにかくインストールがすごく簡単です。

昔は、自分でダウンロードしてサーバーに入れなければなりませんでしたが、近ごろでは、WordPress を自動インストールできるようにしているレンタルサーバーが増えていて、手軽に使える環境が整っています。

自由にカスタマイズできる柔軟性

構造がシンプルで、カスタマイズしやすいです。お客様のどんな要望にも応えられる柔軟性があり、一見 WordPress に見えないような Webサイトもたくさん作られています。

また、WordPress 本体のプログラムが公開されているので、機能を追加するためのプラグインと呼ばれる追加プログラムがたくさん作られていて、プログラミング の知識がなくても簡単に機能を追加することができます。

WordPress あるある

一番よくあるのが、アメブロやはてなブログをやっているのに、WordPress で新しく Webサイトを作ったので、旧ブログへのリンクを新サイトに貼っといてっていうもの。リンクを貼るだけなら良いんですが、新サイト運用後もアメブロなどのブログサービスでブログを書き続けている人。ちょっと待て。それでは WordPress にした意味ないじゃん。

他に驚いたのが、お金をケチってクラウドワークスの安いところに Webサイトを頼んだら WordPress で作ってくれたんだけど、記事の修正の仕方が分からないから教えてくれって言われて見てみたら、全ページ、記事が画像で作られていたこと。画像は JPEG だから、その画像を作ったソフト(フォトショ)とかがないと修正できないじゃんって、違うよ! そうじゃない。それでは WordPress にした意味がない。

・・・というように、身近でこういうことが頻繁に起きているので、ひどい目にあっている人はたくさんいるんだろうなぁと思います。

WordPress は確かに、HTMLやスタイルシートなんか知らなくても、誰にでも簡単に使える素晴らしいソフトではありますが、知らないで使うと痛い目に合うことがあります。家を建てるのと同じで、業者に頼むんだから全てお任せにしてしまうと、ぼったくり業者にやられる可能性大です。会社でWebサイト担当者になってしまったら(若いというだけで押し付けられるケースも多いらしい)、ある程度は勉強することをお勧めします。